亡き星のグレイブキーパー_イントロダクション

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カラクリコネクション企画コンピ第一弾

 
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イントロダクション

ハロー、観測者(オブザーバー)
SOS、SOS。

信号を受け取ってくれてありがとう。
これは救難信号だ。

場所は惑星イェラ──そう、死に絶えたあの惑星だ。
助けに来て欲しい。よろしく頼むよ。

…ただ、それまでの間に聞いて欲しいことがある。

僕は、かの星が滅亡した原因、デルバ粒子を求めてやってきた。
研究者として、どうしても手に入れておきたかったんだ。
もちろん宇宙船にはたくさんの装備を積んできたさ。
何せ宇宙蟲(ワーム)がたくさんたかっているだろうからね。
予想通り、すぐに戦闘になった。

だが、予想外だったのはその数さ。
奴らは、無限に湧いてくるようだ。
湿った石を掘り返したら、一面びっしりとダンゴムシが引っ付いている光景を思い出したよ。

閑話休題。
そんなわけで燃料が尽きてしまってね、イェラの重力に引かれて落ちててしまったわけだ。
目的通りイェラに到着したはいいものの、いやはや帰る手段は何もない。

命の絶えた瓦礫の惑星。
僕は絶望したさ。

…でも、驚いたことがある。
宇宙蟲(ワーム)が惑星にいないのだよ。
イェラのスペースデブリから発せられるデルバ粒子にはたかっているというのに、
まさか惑星にはたかっていないだなんて、そんなこと信じられるかい?

…ただ、もう一つ驚いたことがあったんだ。
堕ちた僕の船の音を聞きつけて、一体の機動兵器がやってきた。
すごくボロボロで、様々なパーツを取り付けてその場しのぎの修理をしたみたいな見た目で。
それで…僕に大きな銃口を向けたんだ。

「裏切者!」

そう聞こえた。
そのがらくたのような機体は、コクピットの中を覗かせていたことに僕は気づいた。
華奢な体が垣間見えた。
向こうもそれに気づいたのだろうね。ハッチを開いてきた。

やぶけて原型のわからない黄色いレインコート。
体のあちらこちらにまかれた血のにじむ包帯。
そして…義手になっている右腕。

「今更ノコノコと戻ってきやがって!!」

彼女は涙を浮かべて叫んでいた。

その後は…本当に大変だったよ。もう呆れるくらいにね。
まず僕はイェラ出身ではないことを懇切丁寧に説明して、やっとのことで銃を下ろしてもらった。
彼女はイェラを見捨てた人たちを憎んでいるようだった。

かつてこの惑星に存在した、家族との団らん、友人との談笑、温かな記憶。
それらはすべて土に帰した。
宇宙蟲(ワーム)の急襲によって。

生き残っていた人々は、イェラを見捨てることに決めた。
彼女は、それに賛同できなかった者だ。
もちろんそれは彼女以外にもいた。

残った面々で、敵を迎え撃った。

だが…すべては死に絶えた。
ここに生きるは、彼女一人のみ。

「わかってるよ、私だって」

身体を震わせている。

「意味なんてない。こんなに一人でボロボロになったって、もう誰一人返ってこない!」

彼女は、左腿も義足だった。
震えが、カタカタと金属音に変わる。

「でも…でも、私は許せないんだ。この星が、あいつらに喰われゆく姿なんて、みたくない…」

そう言って彼女は、傍らに無数の墓に目をやった。
簡素な墓石には、それぞれ名前が刻まれている。
僕の知らない名前がたくさん…たくさん並んでいた。

ハロー、観測者(オブザーバー)
お話を聞いてくれてありがとう。

僕は…
僕は、どうすればいいのだろうか。

…救助を待つ。

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